第27回日本腹膜透析医学会学術集会・総会

ご挨拶

世界に誇る日本のPDをデザインする

 日本の腹膜透析(PD)は腹膜炎発症率や出口部感染など世界にも誇れる成績であることはPDの臨床にかかわるものであれば、なかば常識であります。しかし、その成績が、日本特有のどのような手技や患者教育に基づくものかは不明であります。また、日本独自の治療法や手技だが、それが世界の中でどのように考えられているかを理解し、世界に誇れる成績を呈しているのかも検証することが大事であると考えています。
 2020年3月に我々が施行した、患者教育アンケート調査などから、日本のPDをしっかりと分析調査して、日本のPDとはこういうものだという概念を明確にし、さらに将来に向けて何をすべきかを見極め、その強化すべきポイントは、たとえ今は日本で強くなくても、将来世界に誇れるものになるようにさらに発展させることも大事と思っています。このように今ある強みとこれから強化するものの実態をつかみ現在の概念をまとめ、さらに、将来に向け現在やるべきことを見極めるべきと考えております。
 広辞苑で「デザイン」を引くと、「下絵」「図案」という意味はもちろん「製品の材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画」という意味も出てきます。最近は「人生をデザインする」というような用いられ方も多くなりました。デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareであり、また、デザインとは具体的な問題を解き明かすために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解されています。
 このように日本のPDの概念を過去・現在・未来をも見通して組み立て、それらを本学会を通して表現することを目標とするため、今回、デザインするという言葉を使いました。
 もちろん災害や新型感染症にも強いPDが、どのように行われていたかも、きちんと概念から明確にし、将来のために設計することを含んでいます。
 昨年の新型コロナ感染禍から1年半が経ち、今後我々が日本のPDをどのように展開していくべきかを、この学会を通じて皆様と一緒にまとめていきたく思っております。
 2021年秋の東京、ハロウィーンの時期に開催します。皆様と一緒に集まって楽しくできる世の中になっていることを祈念して、2021年秋、虎の門ヒルズでお会いしましょう。

第27回日本腹膜透析医学会学術集会・総会
大会長 竜崎 崇和
(東京都済生会中央病院 副院長)

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